『解ける』から『分かる』へ
わかりにくいことを,どうすれば少しでもわかりやすくできるのか。
私がずっと考えているのは,このことです。
ここでいう「わかりにくいこと」は,必ずしも高度で専門的な内容だけを指しているわけではありません。たとえば,算数の文章題のように,一見すると簡単に見えるものでも,私にとっては必ずしも簡単ではありません。答えを出すことはできても,なぜそのように考えればよいのか,どのような関係を見ているのか,どうすれば本当に「分かった」といえるのかを考え始めると,そこには十分に研究するべき問題があると感じています。
私は,学習の目標を,単に「解ける」ことではなく,「分かる」ことに置いています。解くことは,手続きを適用して答えに到達することです。一方で,分かることは,対象の構造や関係を捉え,自分で説明したり,使い直したりできるようになることだと考えています。
そのために私は,考える対象を,図や記号,部品,関係,構造として外に表し,操作できる形にすることに関心をもっています。頭の中だけで考えようとすると止まってしまうことでも,外に出して,動かし,組み替え,比べることができれば,考え続けるための手がかりが得られます。考えることを,外的な操作として支えることで,考えることをやめず,止めずに進めることができるのではないかと考えています。
私の研究では,このような外に表された知識の形を,「外的表象としての記号的知識表現」と捉えています。そして,それを学習者だけでなく,教授者やシステムも共有できるようにすることを重視しています。学習者はそれを使って考え,教授者はそれを見て支援し,システムはそれをもとに診断やフィードバックを行う。この三者が同じ表象を共有することで,学習を支援しやすくなると考えています。
このnoteでは,学習工学の立場から,考えることを支える道具,外的表象,概念マップ,再構成活動,問題づくり,論証の吟味,算数文章題の理解などについて,研究メモとして書いていきます。
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