定義的比例・定義的反比例
定義的比例・定義的反比例のまとめ
1. 基本的な立場
今日の議論では,比例・反比例を,まず量の意味構造から定義しようとしました。
つまり,
-
存在量:対象・状態・時点において実体的に捉えられる量
-
関係量:二つの存在量の関係として定義される量
という区別を前提にして,比例・反比例を捉える立場です。
この立場では,比例・反比例は「式の形」より先に,
二つの存在量のあいだに,一定の関係量が成り立つ構造として理解されます。
2. 定義的比例
定義
定義的比例とは,
二つの存在量 のあいだに,
一定の関係量 (単位あたり量・率・倍・1つ分の大きさなど) が定義され,
その一定性によって一方が他方に従って決まる構造
です。
式で書けば,
の形になりますが,本質は式そのものではなく,
-
が存在量であり,
-
が両者のあいだの関係量であり,
-
その が一定である
ということにあります。
例
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1個6円のあめを4個買う
-
存在量:個数,代金
-
関係量:1個あたり6円
-
-
1分で80m進む
-
存在量:時間,距離
-
関係量:速さ 80m/分
-
-
3倍
-
存在量:もとの量,くらべる量
-
関係量:倍
-
特徴
-
乗法,等分除,包含除の三用法は,いずれもこの一定関係量に基づく操作として統一できる。
-
比例とは,**「一定の関係量をもつ二存在量の構造」**である。
-
したがって,「比例かどうか」は,単にグラフが原点を通るかではなく,一定関係量で二量が結ばれているかで判断できる。
3. 定義的反比例
定義
定義的反比例とは,
二つの存在量 のあいだに,
一定の構成関係量 (積として定まる一定量) が定義され,
一方が増えると他方がそれに応じて減ることで,その一定性が保たれる構造
です。
式で書けば,
ですが,ここでも重要なのは式ではなく,
-
は存在量
-
両者の組合せ全体として一定の関係量 が成り立つ
-
一方の増加に対して他方が逆向きに変化する
という意味構造です。
例
-
面積が一定の長方形
-
存在量:たて,横
-
一定量:面積
-
-
一定距離を進むときの速さと時間
-
存在量:速さ,時間
-
一定量:距離
-
-
一定人数で分けるときの1人分と人数
-
存在量:人数,1人分
-
一定量:全体量
-
特徴
-
比例が「一定の比・単位量」によって結ばれる構造であるのに対し,
-
反比例は「一定の全体・積」によって結ばれる構造である。
つまり,
-
比例:比が一定
-
反比例:積が一定
という違いになります。
4. 「定義的」と呼ぶ意味
ここで「定義的比例」「定義的反比例」と呼ぶのは,
-
学校数学の式変形的定義
-
グラフ的特徴による同定
-
問題の見かけ上の類型分類
より前に,
量の意味構造そのものから比例・反比例を定める
という意味です。
つまり,「定義的」とは,
比例・反比例を,解法や表現の都合ではなく,
量と関係量の構造定義として与える
ということです。
5. 二重三角図との関係
この議論では,二重三角図は,定義的比例を表現するための基本図式として位置づけられます。
定義的比例
-
上下の存在量
-
それらを結ぶ一定の関係量
-
必要に応じて逆関係量
を表現できるため,比例構造を直接表せます。
定義的反比例
反比例については,単一の比例型二重三角図そのものではなく,
-
一定量を介した二つの比例関係
-
あるいは積一定構造
として,少し拡張的に扱う必要があります。
したがって,今日の議論の流れでは,
-
二重三角図はまず定義的比例の中核表現
-
定義的反比例は,その上で積一定構造として拡張的に位置づける
という整理が自然です。
6. 境界の明確化
この定義によると,比例でないものも明確になります。
比例でないもの
-
料金
-
切片をもつ一次関数
-
一定関係量に加えて余分な量が入るもの
これは,二つの存在量が単独の一定関係量だけでは結ばれていないため,定義的比例ではありません。
つまり,
定義的比例とは,余分な加法成分を含まない,純粋な一定関係量構造である
といえます。
同様に,反比例も,
-
積一定が保たれないもの
-
他の付加量が混入するもの
は定義的反比例ではありません。
7. 今日の議論を踏まえた簡潔な定義文
定義的比例
定義的比例とは,二つの存在量のあいだに一定の関係量が定義され,その一定性によって一方が他方に応じて定まる数量構造である。
定義的反比例
定義的反比例とは,二つの存在量のあいだに一定の積的関係量が定義され,一方の増加に対して他方が逆向きに変化することでその一定性が保たれる数量構造である。
8. 研究上の意義
この整理の利点は,比例・反比例を
-
解法の種類
-
公式適用の対象
-
グラフの見た目
としてではなく,
量の構造そのものとして扱えることです。
そのため,
-
問題文の意味理解
-
図式化
-
二重三角図への組立
-
三用法や逆関係量の理解
-
境界事例の検討
-
What-if-not による探究
へと自然につなげられます。
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